埼玉大学工学部電気電子システム工学科 伊藤研究室

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LSI(大規模集積回路)設計とその自動化

私たちの便利で快適な生活を支え、エンターテインメントをもたらす電子情報機器。その高機能化、高性能化、小型化は、主要部品であるLSI(大規模集積回路)によって実現されています。さらに、家電製品の高機能化や省エネ化、自動車のエンジン制御などに必要な高度な情報処理にもLSIが活躍しています。時には1億個を超えるトランジスタも搭載可能なLSIの能力をフルに活用する処理方式と高性能な回路の設計、性能を最適化したLSIを短期間で得るための設計自動化について研究しています。

(1)LSI向け処理方式

LSIによって処理性能を向上する1つの方法として、LSIが搭載する多数のトランジスタを有効活用した並列処理が挙げられます。特に動画像処理など演算処理量が多く、リアルタイム処理が求められる場合に LSIによる並列処理が有効です。市販の高性能プロセッサを用いたソフトウェア処理に比べて桁違いの高速処理を低消費電力で実現することも可能です。処理の特徴を分析し、場合によっては並列実行可能な処理方式への変更も検討して、高速で高効率なLSI向け処理方式を考案するとともにLSI回路設計を行います。 最近では、光ファイバや最近の高速無線通信で必要となる超高速符号化復号化処理や高度画像処理を行う専用LSI、プロセッサに組み込んで、ソフトウェアでは苦手なビット処理や並列処理を高速化するためのアクセラレータ回路などの開発を行っています。

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(2)LSI設計自動化

与えられた処理を実行するLSIの設計では、単に処理が高速なだけでなく、小型化や低消費電力など同時に様々な設計目標が課せられるのが通常です。膨大な組合せの処理方式の中から最良のものを選び出し、短時間でLSIを設計するには計算機を用いた設計自動化が不可欠です。 LSI設計の上流工程として、処理中の演算実行順序を決める高位設計があり、その設計結果は後工程の論理合成、配置配線設計、ひいては最終的に得られるLSIの性能を大きく左右します。実行順序制約を満たす演算実行時刻組合せを効率よく列挙することで最適な演算実行順序を短時間で探索する手法を考案し、計算機プログラムに実装することによって、従来は最適化が困難であった設計目標にも適用可能な高位設計自動化を研究しています。

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次世代LSI向け処理方式と設計自動化

LSI微細化技術の進歩により、LSIの小型化、大規模化が進んだ一方で、従来は重視されなかった問題が顕在化してきています。例えば、信号伝達のための遅延時間と消費電力の相対的増加、もれ電流による消費電力増加、製造時の個体ばらつきの増大、発熱の集中などです。これらを考慮して高い性能を達成するLSI向け処理方式の設計が今後の課題です。 これまでLSIの微細化が進められてきた理由の1つとして小型化による製品価格の低下があります。微細化によって潤沢に使えるようになった多数のトランジスタを活用して、低消費電力などの性能を改良した、価格ではない付加価値のあるLSIを設計すること、ならびに、そのための設計自動化技術の開発を目指しています。